ゆず図書館。*短編集*
 

「……何ニヤニヤしてんの。気持ち悪い」

「!彼女に向かって、気持ち悪いとか酷い!」

「ほんとのことだし」

「佑のこと考えてたんだよ?嬉しいでしょ!?」

「……気持ち悪い。」


はぁ、と呆れたように佑が溜め息をついた。

その眉間にはシワが入っていて、本当に嫌そうな表情。

でも、私はへこたれない。

佑は私を傷付けようとしてそんな風に言ってるわけではないって、わかっているから。

ソファに座る佑に近付き、その隣に座って、にっこりと笑って佑を見つめる。

すると、ソファに沈み込んでいた佑が「仕方ない」と言うようにふぅと息を吐いて私の方に向き直り、目を細めて私を見る。

そして、顎をくいっと前に出した。


「……ん。」

「はーい」


私は佑のネクタイに手を掛け、すでに緩んでいたネクタイをほどいていく。

これはほぼ毎日の日課で、佑がオフになるこの瞬間がすごく好き。

 
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