君のためなら
飛鳥の言葉に、縁は当初の目的を伝えた。
「お祖父サマがあの件、承諾したよ。」
《!!》
「だからそっちの手続きよろしく。前話した通りに行ってほしい。一週間後、そっちに飛ぶから。」
《一週間後ぉ?別に明日からでも構わないよ~!準備はバッチリだからー。》
「いや、一週間後。ちょっと用事を済ませないといけないから。」
飛鳥は少しの間沈黙すると、《了解》と短く応えた。
それから二人は二、三話し合うと、通話を切った。
縁は自分について回る友人に顔が向かい合うようしてしゃがむと緩く笑った。
「ちょっと出かけてくるから、お前はここで待ってて。いいね?」
それに反応するようにしっぽが揺れる。
「いいこ。」
頭をなでてやると気持ちよさそうに目を細めた。
―― 桜、僕の願いも叶いそうだよ ――
縁の顔からはもう笑みが消えていた。