桜雨〜散りゆく想い〜
 逆に憎い相手ならば


 『地獄に落ちただろう』


 と、憎悪から自分自身を救う。


 僕も家族が『せめて天国で安らかに……』と願ったが、結局のところ僕自身がそうあって欲しいと思う願望なのだ。


 「私はそれでいいと思う……きっと辛いのは残された方だと思うから――」


 香の言葉がやけに重くのしかかり、僕は根拠のない不安に駆られて聞いてみる。


 「どこか……悪いの?」


 
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