桜雨〜散りゆく想い〜
 昨日、僕が帰る時はそんなそぶりすら見せなかった茜。


 僕に重圧をかけないように必死に堪えていたのだろう。


 その姿を想像するだけで、切り刻まれたように胸が痛い。


 「許して……くれるかな――」


 僕はポケットから携帯を取り出して、メール作成画面を出した。


 雨粒が画面に付き、見づらいが構わずに指を動かしてメールを作る。


 『今から屋上に来れる?』


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