桜雨〜散りゆく想い〜
 「愛してる!!」


 振り向いた茜は真っ赤な顔をして、手をばたつかせた。


 「ば、ばかっ!!こんな所で言ったらばれちゃうでしょ!」


 「名前言ってないんだからばれないよ」


 もう……と茜は言いながら、体の向きを戻して階段の下に姿を隠した。


 茜を見送った僕は、教室に戻り香の姿を捜したが見つける事が出来なかった。


 キョロキョロとする僕の肩に後ろから手が置かれて振り返る。


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