桜雨〜散りゆく想い〜
「よろしくね」
「あ、うん……よろしく――」
事態を把握しきれないまま、とりあえず返事をする。おそらく今の僕は、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしているだろう。
(まあ、鳩が豆鉄砲をくらった顔なんて見た事はないが――)
『私の顔、何かついてる?』
みたいな顔をして、桜……佐倉さんは首を少し傾げて言った。
「私の顔、何かついてる?」
「いや……目と鼻と口がついてる――」
僕は言い終えてから後悔した。