桜雨〜散りゆく想い〜
 何となく言い訳がましいような気がしないでもないが、事実を事実として僕は白木さんにそう伝えた。


 「そうだったんだ――」


 「まあずっと昔の事だから僕は忘れてたんだけど……」


 白木さんは何かを考えるように少し俯いてから、ピンク色のフレームをした眼鏡を動かした。


 何だっただろう、どこかのブランドのマークが入っているのが見える。


 「実は私……佐倉さんが前にいた高校で一緒だったの」


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