桜雨〜散りゆく想い〜
 ましてや香のように印象に残る人間に気付かないなんて事があるだろうか――


 もちろん絶対ではないが、常識的に考えればそんな事があるとは思えなかった。


 「でも佐倉さんは……私もあんまり自信がなくて、前の学校の友達に電話で聞いてみたの、『佐倉香さんっていたよね?』って――」


 白木さんはそこまで言ってから、何故か言いにくそうに言葉を濁した。


 「そしたら友達が……」


 「友達が?」


< 134 / 202 >

この作品をシェア

pagetop