桜雨〜散りゆく想い〜
机と机の繋ぎ目に出来た窪みに、教科書の背表紙をはめるように置きながら佐倉さんに確認する。
「うん……」
明らかに失敗だった。
一定の距離を置いているのと、いないのとではこうも違うものか――
ほんの数十センチ近付いただけなのに、さっきまでとはまるで違った。
さっきまでは、アニメや漫画のヒロインでも見ているような、非現実的だった存在。
それが今は現実に変わった。
『触れられないもの』
が
『触れてはならないもの』
に変わる。