桜雨〜散りゆく想い〜
 「それが生きてるってゆう事なんだと思う、先があるって思える事が――」


 「……っ!?」


 今度は勘違いではなく、確実に香の存在が僕の中で揺らいだ。


 「香ちゃんっ!」


 「ノンちゃん、そこにいる?」


 僕の方を見る香の目は焦点が合っていない。


 「ああ、居るよ!ここに居る!」


 「先があるって言うのはね、とても素敵な事なの。でも――」


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