桜雨〜散りゆく想い〜
 「え?」 


 「弁当いつもありがとう」


 茜は嬉しそうに少し微笑んで言った。


 「なんか、少し変わったね」


 「そうかな?」


 頷いた茜はそのまま階段の方に歩いて行った。


 僕はその後ろ姿にもう一度心の中で、ありがとうと呟く。


 やがて昼休みになり、僕は二段式の弁当箱を出すと、ゴムバンドを外して蓋を開けた。


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