桜雨〜散りゆく想い〜
佐倉さんの手が僕の手を包み込むように添えられていた。
その部分から血液の流れが緩やかになっていき、やがて全身に広がった。
「あ、うん……もう大丈夫だから――」
「具合悪いの?」
心配そうな顔で言う佐倉さんの言葉を、僕は首を横に振って否定した。
「そう、ならよかった」
佐倉さんはそう言うと再び微笑んでから、視線を黒板に向けた。
僕もそれにならって一旦黒板に視線を送ったが、すぐに佐倉さんの横顔に視線を戻す。