桜雨〜散りゆく想い〜

 「あ、そっか……って――そんなわけ無いでしょ!!」


 見事にノリツッコミをやり遂げた茜は、僕の頬をつまんで左右に引っ張る。


 「いだだだだっ!いだいいだい!」


 引っ張られた頬につられて唇も横に伸び、僕は濁点混じりの声を上げた。


 「望が私の弁当盗るからでしょ!」


 「わかっひゃわかっひゃ!はえす!はえす!!」


 茜がようやく頬を掴んでいた手を離す。頬がジンジンと熱くて、僕は両手でさすった。


 「いいわよ……もう購買も何も残ってないだろうし、食べる物ないでしょ?」


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