桜雨〜散りゆく想い〜
 言動にしても幼いと感じる事がしばしばある。


 でも、こうゆう時の気遣いなどはやはり大人なんだと思わせる。


 僕が茜の家に泊まると必ず弁当を作ってくれる。今日の弁当も、どう考えても茜にしては多過ぎる量の弁当だ。


 慎ましく、そっと伝わって来る優しさ。押し付けがましくもなく、媚びを売るでもなく、ただ純粋な優しさ。


 僕と茜が付き合い始めたきっかけもそんな茜の、奥ゆかしい優しさからだった。


 茜と恋人になったのは今から約八ヶ月前――


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