桜雨〜散りゆく想い〜
 『クラスの皆もお前の事心配してたぞ、早く顔を見せてやれ』


 生活指導の教師は、額の汗を拭いながら言った。

 何度も何度も教師が訪れては、似たような上辺ばかりの台詞を並べる。

 何の意味も持たない、ただの言葉の羅列――

 うんざりした僕はやがて玄関の鍵を閉め、全てから逃避した。

 僕が誰とも会わなくなってから三日目、今まで一度も来た事のなかった茜が門の前に立った。


 何を今更――


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