桜雨〜散りゆく想い〜
 少しの間、インターホンの音が短い間隔で続いてから止んだ。


 それを意識の端で認識した僕は、間もなくまどろみの中に意識を流した。


 気が付いた時には日は落ちて、夜の闇が辺りを支配していた。


 気怠い体を起こして部屋を出ると、階段の下が明るい事に気がついて首を傾げる。


 電気消し忘れたかな――


 階段を降りる途中で人の気配がして、唾を飲み込んだ。


 泥棒?


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