桜雨〜散りゆく想い〜
 足音を立てないように気をつけながら階段を降りる。

 居間の向こう側、台所で物音がして僕はゆっくりと顔だけ覗かせた。

 小柄な女の子がパタパタとスリッパを鳴かせて忙しそうに動いている。


 「宮田……先生?」


 僕の声に茜が顔を半分だけこっちに向けて口を開いた。


 「あっ、起きた?ご飯もうすぐ出来るから待ってて、どうせまともな物食べてないんでしょ?」

 「あんた……何やってんだよ?」


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