桜雨〜散りゆく想い〜
 茜の言葉を遮った僕の声は静かな家の中に響いた。


 「ああ、これ?ちょっとね、夏休み実家に帰ってたんだけど私が鍋の火消し忘れてて火事になっちゃったんだ――」


 茜の顔は左半分の殆どが黒ずみ、皮膚が垂れていた。


 「火事……」

 「うん――それで葬儀とか色々あって学校行けなくって……ごめんなさいね」


 「葬儀って……誰か亡くなったのか?」


 「うん、私は一人っ子だから両親がね――」


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