桜雨〜散りゆく想い〜
 自分の不注意で両親を死なせた茜、自分のせいで家族を死なせた僕。

 同じような境遇に居る二人は、明らかに違った。

 自分がこの世で一番不幸で、誰も自分の事なんてわかってくれないと逃げ出した僕。

 自分の不幸を悲しむよりも、たかが教え子一人の為に必死になる茜。


 「何で――何でたかが一人の生徒のためなんかに……笑えないぐらい辛いはずだろ……なんで――」


 茜は少し考えるように頭に手をやって、幼い顔に笑顔を浮かべながら言った。


< 44 / 202 >

この作品をシェア

pagetop