桜雨〜散りゆく想い〜
 それを気にも止めず佐倉さんさ続ける。


 「見渡す限り桜の花びらが舞ってて、その男の子はその中で笑ったの……その笑顔は凄く綺麗で、私はそれを見た瞬間全部持って行かれた」


 「全部持って行かれた?」


 「そう――好きだったアニメのヒロインだとか、小さいながらに描いてた夢だとか……全部その男の子に塗り変えられたの」


 佐倉さんの言いたい事が良く解らず、僕は黙って次の言葉を待った。


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