桜雨〜散りゆく想い〜
 「私は私が中心の世界に居たのに、その男の子に会った時から私の中心はその男の子になったんだ……」


 「それで桜が……?」


 「うん、少ししてから私は引っ越してね、それから桜の木の所に行けば会えるんじゃないかと思って――」


 何年経っても変わらない想い。佐倉さん程の美人ならば今までいくらでも彼氏ぐらい作れたはず。でもそうはせずに抱え続けて来たのだろう……


 「きっと会えるよ――」


 佐倉さんは僕の顔を見てから、大きく頷いて微笑んだ。


< 57 / 202 >

この作品をシェア

pagetop