桜雨〜散りゆく想い〜
 桜は咲いている時に脚光を浴びるが、咲いていない時があるからこそ咲いた時が美しい。


 人も同じだと思う。


 不幸があるから幸せで、悲しみがあるから喜びがある。それはコインが表裏一体であるように切り離す事はできない。


 想いも同じだ。胸に秘めている時苦しければ、打ち明けて伝わった時の嬉しさも大きい。


 桜並木をゆっくり歩きながら、昼休みの佐倉さんを思い出す。


 少し哀しそうな微笑み――


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