桜雨〜散りゆく想い〜
 「茜?お帰り……今何時?」


 「8時前よ、ちょっと遅くなっちゃった」


 ゴメンネ。と軽く茜は僕の唇に自分の唇を重ねた。


 「お疲れさん……なんか夢見てた」


 「ありがと、望が夢見るなんて珍しいね?」


 僕は頷いてから、茜ごと体を起こして両手を伸ばして背筋を伸ばした。


 「どんな夢?」


 茜は僕の膝に座るって、落ちないように首に手を回した。


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