桜雨〜散りゆく想い〜
 「懐かしい夢――僕の初恋だよ。久しぶり思い出したよ、もう名前も覚えてないしね」


 「へー……聞かせて?望の初恋――」


 茜は僕の肩に頭を預けて目を閉じた。


 「幼稚園の頃――同じ幼稚園に通う女の子で、桜が好きな子だった」


 そう――


 だから僕も桜が好きだった……


 「あんまり覚えてないけど、最後に会った時桜の中で笑ってた」


 降りしきる桜の中で――


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