桜雨〜散りゆく想い〜
 「凄く綺麗でさ……なんか――こう、ぐわっ!て感じだったよ」


 「プッ……何それ?どんな感じよ?」


 茜は目を細めて可笑しそうに言う。その頬を軽く突いてから僕は言葉を捜しながら続ける。


 「なんてゆうのかな……全部その子に引っ張られて、塗り替えられる感じ――」


 そこまで言って僕は佐倉さんが言っていた台詞を思い出した。


 『全部持って行かれた』


 確かにそう言っていた。


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