桜雨〜散りゆく想い〜
 「でもなぁ……」


 僕はニヤリとして台所に向かう茜を後ろから抱きしめながら言う。


 「茜が寝かせてくれないしな――」


 火事の後で一度整えてから切っていない髪が首に掛かっている。


 僕はその髪を手で手繰りよせ、あらわになった火傷の跡にキスをした。


 茜がそれに合わせて体を一瞬ビクつかせる。


 スカートに収まったままのブラウスの裾を出し、そこから手を入れてお腹に手を這わせる。


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