桜雨〜散りゆく想い〜
 『ずっと、あの日からずっと好きだったよ――』


 そんな事を考える。


 しかし、茜がいなければ今の僕はいない。全てを失った僕の側にいたのが茜だったから、僕は今こうして立ち直る事ができたのだから。


 「出会いって不思議だね――」


 香の不意の言葉に僕は顔を向ける。


 「産まれた瞬間から全て決まってるみたいに……きっとコンマレベルで誰かと誰かの出会いが起きてるんだよ」


 不思議にも今の香は普通の『女の子』だった。


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