桜雨〜散りゆく想い〜
 いつの間にか茜が僕の前に仁王立ちしていた。


 「あ、すいません。昨日の夜の事思い出してました」


 見る見るうちに茜の顔は紅潮していき、今にも煙りが噴き出しそうだ。


 「な、な、な、な、何言ってるのよ!!あ、朝から!」


 「何がですか?僕は昨日見たテレビの事を思い出してただけですけど?」


 視線だけ動かして隣を見ると、香はクスクスと肩を震わせている。


 「……そう」


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