桜雨〜散りゆく想い〜
 「……?」


 一瞬妙な間を開けてから呟くように茜は言って、教壇の方に戻って行った。


 やけにあっさりと引き下がった茜の後ろ姿に僕は首を傾げる。


 一時限目の授業が始まる前に茜にメールを入れる。


 『なんかあった?』


 『何もないよ』


 絵文字も何もない素っ気ないメールだが、それはいつもの事だった。


 『ならいいけど』


 その後茜からメールは返って来なかった。


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