桜雨〜散りゆく想い〜
 「よかったら一緒に屋上で食べない?」


 僕は香と目の前の弁当を交互に見て『いいけど……』と返事をした。


 相変わらず香と歩いていると視線を集める。しかも、今日は二人して弁当を持っている。


 『これから一緒に仲良く弁当を食べます』


 と、言わんばかりに――


 周りの想いはともかくとして、何と無く罪悪感を覚える。


 屋上に出ると、空は快晴……ではなく、今にも雨が降り出しそうな黒い雲き覆われていた。


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