雪の結晶



私はよろよろとオトウサンに近づき


顔を覗き込んだ


オカアサンの名前と


君の名前を


かすれるような小さな声で


呼んでいた


うっすらと目をあけて


私をみると


『ハク…りっかを…
かわり…にまもっ…』

それを言い残して


強くて優しいオトウサンは死んでしまった


私の命をこの世に繋ぎとめているのは


君を想うオトウサンの心


だから私はずっと君の傍にいる


この半不死の体になって


君のもとへ


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