掌編小説集

*161.狂気にまみれた葡萄がアネモネを捲き込み嫉妬の為に無実の犠牲を生んだ

コスモスで芽生えた乙女心に
ブーゲンビリアのフィルターで君しか見えなくなった

クロッカスを手にあなたを待っています


だけど何故?


ガマズミの様に無視したら僕は死にますと伝えたはずなのに
オダマキみたく僕は捨てられた恋人なの?

イトスギは絶望をパセリは死の前兆を僕の元へ運んできた


君の隣の男がオニユリとメハジキを纏い嫌悪と憎悪が増す


トリカブトで君は僕に死の機会を与えてしまったんだ


世の中はイラクサの様に残酷で意地悪だよ


クロユリとマンサクを使って呪文を唱えたらクワを抱いて共に死のう


だけど心配しないで


アイビーが死んでも離れないように僕達を繋いでてくれるから


ドクニンジンの様に死も恐れない愛を胸に
ゴシアオイを抱いて僕達は明日死ぬだろう


そんな顔をしなくても大丈夫


僕は僕らを引き裂いたあの男にアザミみたく復讐なんて望まないよ

僕達の桜とサザンカみたいな心の美しいひたむきな愛に

ガーベラとカキツバタとすずらんで花束を作れば希望と幸福は必ず訪れる

そうタンポポが神様のお告げを教えてくれたんだから
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