掌編小説集

235.本物はなにものにも劣らない

僕の部屋にはね、
君の写真がいっぱいあるんだ


恥ずかしがりやの君は
どれも目線は違う方向を向いているんだけれど


まあ正面じゃなくても君は美しいよ



さあ、メランコリックな時間は終わりにしようか


もう恥ずかしがらなくていいんだよ


その目は開かなくていいんだから


最期に見たのが僕で良かったでしょう


見開く君の瞳には幸せそうな僕が映って


君の声と僕の声がハミングした
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