掌編小説集

254.こんな理由じゃ駄目か?

私を押し倒したお前


お前が手にして私の首元に突き付けたのは凶器


大戦が勃発し、追い詰めた敵が苦し紛れにした攻撃がお前を襲い庇った私


そのせいで片腕を無くした私を問い詰めるかのように



主の命に従い死ぬことを前提として行動する私を何とか生かそうとしてきたお前


反発するようにはぐらかしてきた


けど大戦も終わりを迎えた


無理をして生死の境を彷徨い目覚めた私が向かった先はお前だった



なのに、この仕打ちはなんだ



凶器も震えていて、お前が怯えている理由も分かるがな


なあ。


私は疲れたんだ。


感情を偽るのは。



お前になら殺されてもいいが、

私はお前の子供を産みたい。


この先の未来、

一緒に生きていきたい。




だから、

もう大丈夫だ。
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