掌編小説集

272.7が7回来た日

バレンタインデーって外国じゃ男からプレゼントだし、


そもそもチョコレートはお菓子メーカーの策略だし、



なんて、ぶつくさ言いながら私の目の前の台所にはバレンタイン用の材料が広がっている


ちゃっかり一目惚れで買ったお気に入りのエプロン付きで



結局自分が食べるのに

意味が無いと分かっているのに

毎年毎年作ってたんだ

作らずにはいられない





――そんなことはないよ






突然聞こえた声に辺りを見回す


つい最近借りたワンルーム

誰も居ない

居るはずがない



けど、確かに聞こえたよ


大丈夫


来年も再来年もその次も

絶対作るから





あの日から49日目の出来事
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