掌編小説集

300.ネゴシエーションなんて所詮騙し合い

身内に無表情で
交渉対象者には表情豊か


暇さえあれば
捜査会議中であろうと
資料を読み漁り情報収集


交渉時以外は
周りが呆れる程の
やる気の無い言動



敏腕なのに
とても偏屈なネゴシエーター


ポリシーは

敵も味方も誰も
死なせないで傷付けないで
逮捕と保護をすること



そんなネゴシエーターが
押し問答を繰り返している身内同士に
一つの案を提案した



言うだけ言って出ていくネゴシエーターに
片方の身内は言う

さすがネゴシエーターだな、と


ネゴシエーターは振り返り
無表情で言う



交渉術を使わなくても

本音を言えば動いてくれる

だから嘘を付く必要はない
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