掌編小説集

306.だって、生きて貴方とまた会えたのだから

護衛と称した潜入



貴方がふと漏らした言葉で勘づかれ

薬を盛られ私は対象者もろとも斬られた



幸い命は助かったけれど


利き手と利き足を失った



貴方は自分の責任だと責めた



そうだと認めた上で私は言う



貴方が自分を責めている限り

私はここには居られない


私が傍に居たいと言っても

貴方には義務にしかならない



手足を失ったのは不便だけど

そんなものどうでもいい



だって………――――
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