掌編小説集

*317.反吐が出る様な

人工的な光が照らす世界


頭上を見上げても
眩い光は見えなくて


音にならない声で叫んでいる




誰かに見付けて欲しくて
貴方に見付けて欲しくて




夜明けを望んで
夜更けを拒絶して




届かない願いと知りながら



手を伸ばしても届かない闇と
手を触れたくない光との間で




見下げた視線の先で
美しい蝶に見せ掛けた
蜘蛛が舞い踊っている



貴方が綺麗と言った
有りもしない翼は

今しがたへし折って


その中にいるであろう貴方めがけて飛び込んだ


翼の欠片を撒き散らしながら
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