掌編小説集

*334.俺とあいつは似て非なるもの

落ち込む君へと伸ばした手を下ろし握り締めた





あいつと同じことは出来なかったから


あいつに頭を撫でられて
嬉しそうに微笑んでいた
君を見てしまっているから




励ましなんて軽くも出来ずに




君もあいつも
お互いを兄妹みたいなものと言う



同じ施設で育ったのだから
あながち間違ってはいないだろうけど





君とあいつの間に

割って入るだけの隙間も
無理矢理奪う勇気も


俺には無かったんだ
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