掌編小説集

379.ツマラナイ玩具、クダラナイ飼主

貴方が遠退いてく姿だけは


何年前でも昨日?

いや、寧ろ何秒か前なくらいに想い描ける



路頭に迷ったのは


散々弄ばれて挙げ句に

棄てることさえ忘れられた消耗品の私



中身なんかどうでも良くて

少しずつ味わいたいだけで

新しいもの好きで流行りを追うくせに欲張りだから



捨て台詞はいつも

代わりはいくらでもある



自由な作り話は絡まって

溶けたら最後、解けた嘘に説けた心は

鏡に聞いても無表情を反すだけで



貴方が一時の気の迷いで付けた傷だって

私は一生背負い続ける
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