掌編小説集

402.論争も詭弁も拐かして

悪党のお願いや頼み事は、利用して使い捨てることと類義なんですよね、


だから失望させないで下さいよ、先輩。



と、不敵に微笑むあいつは、

目をかけていた俺の後輩だ。




不可能なものを除外して残ったものが

例えどんなに信じられなくてもそれが真実


と誰かが言っていた気がする。




指定された居場所がすぐに分かったのは、牙を剥いたあいつに招待状を貰ったからに他ならない。






紙を上手く使えれば神だって遣えるはずだから。




神よ、誰も信じられなくなったとしたても



今この時だけ、俺にチャンスを下さい。




必ずこの難問を解決するから、少しの間だけ我慢して待つことは可能だろうか。





良い組織ではなくすべきことをする組織に身を置く俺達には、

これは命令であり、選択肢も拒否権も無いのだ。




頑張ることなんて無いけれど、俺は組織の手伝い程度しか出来ない。



組織の事実をねじ曲げて守れるものなどないと思い知っているから、


己の信念を裏切らず、一縷の望みごと、あいつを貫け。
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