掌編小説集

447.後出しのキャプションなんていらない

住所不定者が殺された。





【おじちゃん】だった。








父親に仕事にかこつけて放置されてた私と



母親に家を追い出されていた私と






遊んでくれた人だった。








遊び人で妊娠させたあげく捨て、その後は借金まみれだったそうだが、私にはいい人だった。








けれど、一致してしまった。



何故か一致した。





私の両親を殺した強盗犯の遺留指紋とおじちゃんの指紋が。








捜査して疑いは晴れたけど、


犯人も逮捕したけど、


様子を見たかったとか、


今さら資格がないと思っていたとか、


分かりきったDNA鑑定とか、









私はそんなこと知らない。











【おじちゃん】は【おじちゃん】だから。





【おじちゃん】でいいのだから。
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