掌編小説集
451〜500

451.金網の向こうのお前に言い残したのは、「俺達は間違っていた」ということ。

あの子をイジメた。


軽い気持ちで。



お前は知らなかったな。


親友だったから。


あの子が階段から飛び降りた瞬間に、分かっちまったんだ。



微笑んだその顔で。




あいつらは何とも思っていなかったけど、俺だって今まで黙っていたけれど。




あの子の親が、動いたから。

あの子の親に、頼まれたから。







俺は。












週刊誌のカメラマンに扮した探偵が殺された。


あいつらだ。


間違いない。







あいつらは俺を陥れる為に、お前に悪い噂を流したようだけれど。




そんなもの、もう関係ない。












お前との仲を茶化して、女は自分に無条件に従うことを要求するチャラ男も、


自分が優位に立って、注目賞賛されないと気がすまないケバ嬢も、


意見や考えに異を唱えられることを嫌がるくせに、お節介やきなおネエも、







全部俺がやったよ。







あの子の親にはさせられないから。











あの子の微笑みに、気付いたから。
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