掌編小説集

470.「彼女で遊んで良いのは俺だけだ。」と颯爽と現れてハットトリックを決めようじゃないか

「使えるか使えないかで判断するお前だが、今一番使えないのはお前だ。」



そう言って俺の胸ぐらを掴んだのは、
正義が違っても目指すところは同じである彼。



「大事を成すなら、多少の犠牲はつきもの。君も組織に属している人間なら、誰につくかよく考えて行動するべきじゃないのか。」
と言ったらこのザマだ。







『分かっているわ、一人で行けるから大丈夫。』
そう、彼女が笑った。

笑っている彼女に甘えたんだ。



ああ、一竜一猪とは正にこのこと。
愚かな俺は竜の餌を携えて。



解けた鎖の鍵を二度と元に戻しはしない。

行こうか、彼女の元に。
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