掌編小説集

478.目の上のたんこぶが戦法のキツツキ

服務規程違反だと怒鳴られたから、
警察手帳を取り上げられる前に叩き返したやった。

戒告処分か、
停職処分か。


帳場に、遊撃捜査班も捕捉班も加わって。



スタングレネードに似たC-4の塗膜片や爆破残さは、光化学製品と混じって。
花火に紛れさせた発砲音だって、線状痕は一致して。


電話で偽りの場所を言ったのに、
うっかり発信元で暴かれてしまったのは痛恨のミスだ。



アムルナイに阻まれても、ゴムを溶かすリモネンのように。

空薬莢がカラカラと、空砲さえ撃てずに弾切れで。


しかしながら大立回りしたおかげで、
怪我をしてしまったが無事に犯人を逮捕出来た。



さっさと病院に行け、と言った呆れ顔と。
労災の申請忘れるな、なんて捨て台詞と。


そんなダブルコンボを土産に。
< 478 / 664 >

この作品をシェア

pagetop