掌編小説集

494.セルフネグレクトなんて烏滸がましい

私が危ない目に遭うとか

私が殺されてしまうとか


偽装誘拐で罠を張ったら

本当に誘拐されてしまったとしても

善意でタオルを洗濯してくれて

乾燥機にまでかけてくれて

でも時間が無くて放置されてしまって

落ちきっていない油のせいで

火災旋風になってしまったとしても

産んだ時ではなくて

産まれた時だと言って

産んでいないことが

分かってしまったとしても

ブレーキオイルが不自然に無くなって

ブレーキが効かなくなっていたとしても


そんなクダラナイコトを

吹き込まれたぐらいで

この人達といることを

後悔なんてしませんよ
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