掌編小説集

521.異端視の任意後見人

彼は一国の王子様だけれど

妾の子だと

両親に愛されていないと

配下には呆れられていると

側近には申し訳ないと

忠誠を誓われても

自分に自信が無い彼

幼少期に一緒に育った彼だけれど

彼が王子様として連れていかれた

少しして私もその場所を離れたけれど

彼が国を追われたと耳にして

追い掛けてきたんだ

彼の仲間は私を疑った

当たり前ね

私の母を父を亡き者にしたのは

彼の父親である現国王の命だったから

けれど私は知っている

彼は一番国王に相応しい

国民の為に笑い

国民の為に泣き

国民の為に最前線に立つ

歴史上稀に見ない

平和な世の前身を

造り上げるであろう彼に

彼は彼だよと

利害無く

蚊帳の外から言えるのは

私だけだから
< 521 / 664 >

この作品をシェア

pagetop