掌編小説集

522.アシドーシスになって、アルカローシスになって、やがて平衡になる

私は任侠一家の娘

祖父と姉と舎弟達と暮らしている

といっても血の繋がりは無くて

私の本当の両親は

任侠一家の組員だったけれど

母は病気で

父は抗争を止めようとして

だから幼かった私を

祖父が引き取ってくれた

姉とは姉妹のように

舎弟達とは家族のように

怪我をする舎弟達を治療出来たらと

医者になりたいと夢と目標が出来た

けれど姉は継ぐ気は無くて

けれど私には期待は無くて

だから迷惑かけないように

学費を稼ぐ為に

一旦働こうとしたんだけれど

医学部の資料を見てしまった姉と

初めて喧嘩になってしまった

けれど

期待されていない訳では無かった

余所者だからでは無かった

ただ自由に生きて欲しいと思っていたんだと

気が付けたから
< 522 / 664 >

この作品をシェア

pagetop