掌編小説集

530.私がスパイだと見抜いてしまった中途半端に頭が良い自分を恨んでください

一人では隠し事で

二人では秘め事で

三人以上だと隠蔽になるのかしらね



私があの人を好きだと信じた彼奴等が

私をスパイに誘ってくれたから

せっかく乗ってあげて

氷を溶かすようにゆっくりと

信頼を積み上げていく途中だったのに

情報を探り出す前に

氷を噛み砕くかの如く激しく

入り乱れた攻防戦を繰り広げたから

中の毒が回りに回ってバレるなんて



愛する人の仲間を裏切る訳ないでしょ



私が愛する人?

貴方だってずっと言っているじゃない

それに気付いてくれたのはあの人だけ

貴方は冗談はよしてくれなんて言って

取り合ってもくれなかったし



いいですよ、もう

付き合うとか考えていませんから

私の中で消化しますから

貴方が私の中で綺麗な思い出になるまで

それまで待っててください



って、なんでそんな顔するんですか?

仕方がないじゃないですか

バレたのは貴方のせいなんですから



え、違う?

じゃあ、何なんですか?
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