掌編小説集
532.陥落寸前、御愁傷様。
公庁(公安調査庁)の公舎と
内庁(内閣情報調査庁)の官舎で
捜査員の動く影は絶えない
宿舎に広がる飛沫血痕は
所謂、見立て殺人を模していると
捜査本部は方針を固めた
法科学鑑定研究所は
絞殺を索条痕と吉川線と
指紋を夜の世界の名刺を用いて捜索
科学捜査研究所(科捜研)は
溺死を顔に乗っていた水に濡れたタオルと
足跡を足の大きさに比例する肘から手首までを重点的に鑑定
科学警察研究所(科警研)は
不純物に含まれる含有量の割合の一致を確認して同一と確定
死体検案書を賜って
解剖鑑定書を拵えて
死亡診断書を携えた
蟒蛇すら逃げ出して
帳尻合わせもせずに
檀家に駆け込んだ
不能犯は自首をして
中止犯は出頭をして
聾桟敷を解釈し周知した
永田町(政界)が教唆を見抜いて
霞ヶ関(官庁)が間接正犯を探り
赤レンガ(法務省)が幇助を妨害
桜田門(警視庁)は隠避を明るみに
不埒な可能性を否定出来ない以上
いや出来なかったら最後
痛い腹を探られた上に
不届き千万を許さぬ捜査をもって
紛れもない包囲網はすぐそこまで
出るのは鬼か蛇か
撃つのは豆鉄砲かミサイルか
刃が付いているだけで御の字な
危険な付け焼き刃ではない
捕まえられた手を振り解くことも
差し伸べられた手に縋ることも
窮地に陥った土壇場では
遺憾の意を示して
往なすことさえ不可能である
内庁(内閣情報調査庁)の官舎で
捜査員の動く影は絶えない
宿舎に広がる飛沫血痕は
所謂、見立て殺人を模していると
捜査本部は方針を固めた
法科学鑑定研究所は
絞殺を索条痕と吉川線と
指紋を夜の世界の名刺を用いて捜索
科学捜査研究所(科捜研)は
溺死を顔に乗っていた水に濡れたタオルと
足跡を足の大きさに比例する肘から手首までを重点的に鑑定
科学警察研究所(科警研)は
不純物に含まれる含有量の割合の一致を確認して同一と確定
死体検案書を賜って
解剖鑑定書を拵えて
死亡診断書を携えた
蟒蛇すら逃げ出して
帳尻合わせもせずに
檀家に駆け込んだ
不能犯は自首をして
中止犯は出頭をして
聾桟敷を解釈し周知した
永田町(政界)が教唆を見抜いて
霞ヶ関(官庁)が間接正犯を探り
赤レンガ(法務省)が幇助を妨害
桜田門(警視庁)は隠避を明るみに
不埒な可能性を否定出来ない以上
いや出来なかったら最後
痛い腹を探られた上に
不届き千万を許さぬ捜査をもって
紛れもない包囲網はすぐそこまで
出るのは鬼か蛇か
撃つのは豆鉄砲かミサイルか
刃が付いているだけで御の字な
危険な付け焼き刃ではない
捕まえられた手を振り解くことも
差し伸べられた手に縋ることも
窮地に陥った土壇場では
遺憾の意を示して
往なすことさえ不可能である